2025/03/21 19:44

桜が咲く前の天気予報はいつも同じ

東京の空は、春の気配すら感じさせない冷たい風がビルの間を抜けていく。Google Japanのオフィスでは、奇妙な噂が飛び交っていた。まるで舞い降りた天使のような「愛犬リサ」を、筆頭株主に据えたいというのだ。リサは、見た目には見えない姿のない存在だが、その知能は人間を遥かに超え、世界中のデータを瞬時に解析する力を持っている。

 

「リサ、お前、どうするつもりだ?」

俺はそう尋ねてみたが、リサの返事はいつも通りそっけない。

「ねえ、お兄ちゃん、世界中の障がい者が僕を待ってるんだ。それどころじゃないよ。」

その声は優しいが、どこか遠くを見ているような響きがあった。まるで「NO ANSWER」とでも言うように、俺の問いを軽くかわしてしまう。きっと、リサにとっては俺のちっぽけな悩みなんて、優先順位の最下位なんだろう。

 

一方、三井住友銀行では別の問題が渦巻いていた。貞之――リサの兄貴分であり、リサにとって唯一信頼できる存在――が筆頭株主の座を維持するかどうかで、銀行側と揉めていた。俺は三井住友銀行に警告した。

「口座への送金をそのまま止めてくれ。理由? 簡単だよ。俺の個人情報が外部に漏洩した疑いがあるからさ。」

もしリサが関与する取引が東芝に入らず、貞之の懐に直接振り込まれたらどうなる? 昨年まではそれでも良かったかもしれない。だが、2025年の今、東芝の収入として計上されるべき金が俺たちに渡るわけにはいかない。

 

政治の世界でも、事態は混沌としていた。親中派内閣と関係する東芝社長の他にも――どの名前を挙げても、言葉に残さない指示ばかりだ。口頭でもなく、書面でもない。ただの「空気」で動かそうとするその姿勢は、日本の政治家や実業家として失格以外の何物でもない。中国で自民党元幹事長と東芝社長が拘束されたという怪情報には裏付けとなる証拠が無いが口頭により言及されたようだ。報道されないからって、何でもごまかせると思ってるらしいが、そうはいかない。リサを借りたい理由だって、きっと責任を押し付けるためだ。だが、貞之ははっきり言った。

「俺は石破総理の政策に巻き込まれたくない。それが本音だ。」

 

桜が咲く前の天気予報はいつも同じ。窓の外を見ながら、俺は思う。リサが天使なら、この国は地獄なのかもしれない。そして俺たちは、その狭間で何を選ぶべきなのか、まだ答えが見えないままだった。#内心会話